Scrum Regional Gathering Shanghai 2012レポート
お隣の国のスクラム事情をレポートします

株式会社情報システム総研 細澤 あゆみ

2012年6月1日から9日の間、「Scrum Regional Gathering Shanghai 2012」が開催されました。Scrum Regional Gathering Shanghaiは中国のスクラムコミュニティが毎年開催しているScrumの”集い”で、今年で5年目を迎えます。本稿では、当日の模様、雰囲気などをレポートします。

いざ!Scrum Regional Gathering Shanghai 2012へ

今年のScrum Regional Gathering Shanghaiは「Let agile fly」というテーマのもと、9日間にわたって開催されました。6月1日から4日はトレーニング、6日はチュートリアル、7日から9日にカンファレンスでした。カンファレンスの参加者は500名で、年々参加者が増えているそうです。

カンファレンスのセッションは、7日と8日には午前に2本の基調講演、午後に6トラックあり、9日は午前に1本の基調講演、午後はOpenJamが開催されました。基調講演も含めると47本ものセッションが行われました。
その中からJurgen Appelo氏のキーノートを紹介します。

Jurgen Appelo氏による基調講演 – 『How to change the world』

カンファレンス初日はJurgen Appelo氏による基調講演から始まりました。Jurgen氏はPaul Dolman-Darrall氏のブログで「アジャイル界でもっとも影響力を持つ20人」としても紹介されています。
講演は、著書『How to change the world: Change Management 3.0』(2012)に沿って、社会を変化させていく方法を4つのステップで説明していました。

変化を起こすための4つのステップ

ステップ1 Consider the System まずシステム(≒組織)を理解しよう。システムを理解するためには、システムの外から眺めているのではなく、あなた自身がシステムに適応することが必要。変化を起こすことができる人は、システムと一緒にダンスを踊ることができる人のことだ。
ステップ2 Consider the Individuals 次に個人に注目する。変化が必要だと気づいてもらうだけでは不十分で、彼らに変わりたいと望んでもらわなければならない。
ステップ3 Consider the Interactions 次に変化を広めていく。そのために、まずはあなたが打ち込める環境にし、あなたを手助けしてくれる人を巻き込もう。変化の伝播具合によってメッセージを変更することも必要だ。
ステップ4 Consider the Environment 最後に環境を整えていこう。情報の見える化、組織のアイデンティティの明確化、インセンティブやインフラの整備など。人のふるまいは、その人と環境によって決まる。人を変えるよりも環境を変えていこう。

Jurgen氏の講演は、ステップごとにPDCAサイクルやロジャースのイノベーション理論など馴染みのあるモデルを用いており、シンプルでとても分かりやすい内容でした。中でも一番印象的だったのは、「変化を起こすことができる人は、システムと一緒にダンスを踊ることができる人のことだ」という言葉。『Thinking in Systems』(Donella Meadows著)にインスパイアされたそうです。私自身、組織や人に変化を起こしたいとき、無意識のうちに組織を外から管理したくなってしまうのですが、組織に溶込み、時には一緒に振り回されることも大事なのかなと思いました。是非、著書も読みたいと思います。

講演資料: http://scrumgathering.cn/speakers/jurgen-appelo/topic-id01/

OpenJam – Host: It’s You!

OpenJamは希望者が討議したいテーマを決め、参加者は興味を持ったところに参加するというオープンなセッションです。今回は大きな会場に9つのテーブルが用意され、3回のサイクルにわたって行われました。私はその中でもCodeRetreatと、Scrum Regional Gathering Tokyoのアイディア募集のセッションに参加しました。

CodeRetreat

CodeRetreatは、あらかじめ用意された簡単な課題をペアプロで取り組むものです。通常は丸一日のイベントですが、時間の都合上2セッション(1セッション40分)のみの開催になりました。今回の課題はコンウェイのライフゲームを実装することです。言語は何でもOKです。




私がペアになったのは中国の方でした。他のイベントでCodeRetreatに参加するのは3回目でした。今回は英語での会話だったのでさらにコミュニケーションをとることが難しく、ほとんどコードを書けなかったのが反省点です。CodeRetreatはプログラミング練習の場ですが、コミュニケーションの良い練習の場でもあります。

WE NEED YOUR HELP! Any Ideas for Scrum Regional Gathering Tokyo?

次回東京で開催されるScrum Regional Gathering TokyoのPO(Product Owner)である永瀬美穂さんがホストで、ギャザリングの参加者、スタッフの方にアイディアを聞き出してしまおう!というセッションです。Scrum Regional Gathering Shanghai 2012のPOも参加しました。



たくさんのアイディアが出ました。お互いのイベントのアンケート結果を共有しようというアイディアもあり、このようにコミュニティはつながっていくのだなと感じました。



ランチとコーヒータイム

ランチ会場はカンファレンス会場に用意されており、全員同じ時間に食事をとります。さらに、セッションの間にコーヒータイムが設定されています。他の参加者と議論したり、大御所をみつけて質問したりすることができ、参加者同士の交流も大切にしています。



参加した感想

まず、参加者層の違いには驚かされました。約4割が女性であり、年齢も20代後半〜30代前半位の方が多く、若いなと感じました。参加者も毎年増加しており、とても勢いを感じました。これから同種のイベントなどで、負けてられないと思っていますが、そういう意味で脅威すら感じさせられた、といのが率直な感想です。読者のみなさんも、さらに活発になっているであろうスクラムギャザリング、2013年1月15・16日に東京で開催されます。是非、参加されてみてはいかがでしょうか?


特別企画

主催

Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013 実行委員会

共催

株式会社翔泳社

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協力






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